「見えないものを体感してほしい」。
母なるヒーラーが叶えた夢は、他者の夢へと広がって
2024年6月16日、神奈川県・小田原三の丸ホール小ホールにて開催された「ネイティブアメリカンフルート＆異次元のヒーリングセッション」。音楽会とヒーリングが融合したイベントの主催者は、マザーヒーラー®のakkoさん。2年前、漠然とイメージした個人の夢が実現し、参加者にとっては「描いた夢は叶う」ことを目の当たりにした日。そして、新たな夢が芽生えた瞬間になったようです。公演を終えたakkoさんに話を聞きました。
音に誘われ、それぞれが時空を旅する
木の葉が風に吹かれてささやくような、小さな音が聞こえてきました。枝や木の間を風が吹き抜けて、さらに森全体へ‥‥‥波紋のようにホールに音が広がっていきます。
ヒーリングセッションの第一部は、ネイティブアメリカンフルート奏者のマーク アキクサさんの演奏。長短のフルートを使い分け、ときには2本のフルートを同時に操り、その演奏に耳も目も釘付けに。マークさんはホピ族をはじめアメリカ先住民たちと交流し、深い精神性をテーマにした独自の演奏法を身につけたといいます。
初めて聞く音楽なのに、なぜか懐かしい。乾燥した北米の大地、緑豊かな森の中。あるいは水辺‥‥‥。すり鉢状のホールは古代の円形劇場を連想させ、自分がどこにいるのかわからない感覚に。私たちの身体に刻まれた太古の記憶を呼び覚ますような、時空を超えた音の旅に身を委ねます。
最後に、akkoさんが登場。朗読が始まるとマークさんが曲を奏でます。
「あなたのまま、全てを出し切ることが誰かの救いにつながり、誰かの魅力を引き出すきっかけになる。
そっと目を閉じてみよう。まぶたに映し出されるものに、現実のあなたに重ねてみよう。
わたし色、あなた色がゆっくり混ざり合う。振動で共鳴し合う。
それが青緑のグラデーション」（朗読を一部抜粋）
第二部のスタートはシンギング・リンの演奏。5名の奏者が地球・宇宙・魂とつながる音を奏でます。客席では、目を閉じて自分の世界に入っている人も。耳では聞き取りにくい小さな音を全身で受け止めているかのようです。
akkoさんの祈りのヒーリングでは「祈りは純真無垢。それを一人占めして、自分の中にあふれさせて。他人と比べないで、自分がどう感じるかが大事」と説きます。そして、クライマックスは想像を宇宙空間へと広げ、瞑想しながら自分の未来を描きます。
まるで遠くへ旅したような3時間半。akkoさんに見えた未来は？
「ヒーラーが10名並んで、皆さんにヒーリングをお届けしている姿。今日は、そのはじまりだとわかりました。そして『真我（しんが）』という世界観を体験しました。自我（エゴ）さえも包括した世界で、これから私は、それを伝えていくのだと感じました」
導かれるように出会いがつながる
akkoさんは神奈川県小田原市でリフレクソロジーのサロンを経営、リフレクソロジストとしては20年のキャリアの持ち主。お客さまの身体に向き合う中で、苦しい心の声を感じるようになり、まずスピリチュアルライフコーチとなりました。さらに癒やしのエネルギーを届けるヒーラーとして本格的に活動を始め、今年で3周年を迎えました。
2年ほど前、ヒーリングをしているときに「“音”という言葉が降りてきた」というakkoさん。自らのヒーリングと共鳴する意味だと理解し、その後、映像のイメージを感じたときに「コンサートをする！」と確信したそう。
「今年になって、マーク アキクサさんの演奏をYouTubeで見て、私のハートが振動しました。喜びで踊っているのです。『この人だ！』と、すぐにメールを送りました。あなたの演奏で朗読したい、と」
マークさんは快諾。喜びに湧くakkoさんの元に、「比叡山に行くように」と天からメッセージが届きます。翌日、比叡山を訪れ、受け取ったメッセージが『青緑のグラデーション』でした。
地元で気になっていた三の丸ホールを見学し、ひと目で気に入って、予約。プログラム作り、関係者とのやりとり、告知、チケット販売、SNSのライブやリトリートなど関連イベントの準備・開催と、すべきことは山積み。周囲に公演開催を伝えると、サポートしてくれる人が次々と現れました。仲間の力を借りしたことでスムーズに準備が進み、「私はヒーリングに集中できて本当にありかたかった」とakkoさん。
そして、「先に届けられた未来の姿が、そのまま私の夢になり、それを信じ続けた」とコンサートの実現を振り返ります。
手放した息子、確執のある母親。全てを許したときに
「あなたの全てを受け止めて包み込むマザーヒーラー®」として活動するakkoさんですが、ヒーラーになることに抵抗があったといいます。
小学2年生のとき、「画家になりたい」と無邪気に言った夢を、「ダメ！」と否定した母親。その後もことあるごとに否定され、争いを避けるため母親に従うことを選びました。大学進学で上京したものの、地元で就職するように手を回した母と、実家に戻った自分。病気を機に母娘で宗教に依存した時期もあったといいます。「母なりの愛情表現だとわかってはいても、常にコントロールされている感覚」が拭えませんでした。
akkoさんは20代後半でアメリカ人男性と結婚し、息子を授かります。夫は学位取得ためにアメリカに戻り、母子家庭の生活に。息子が3歳になる直前に離婚が決まり、子どもは夫のお母さんが育てることになりました。
「息子を手放した罪悪感と同時に安堵感もあったのです。自分が母のようになるのでは、という恐怖を常に抱えていました。だから、息子にとっては私ではなく、義母に育てられてよかったのでは、と。そんなことを思うなんて母親失格。こんな私に人を癒やすことはできないと、ずっと思っていました」
周りに勧められ、30代で飲食店をオーブンしたakkoさんは順調に売上を伸ばします。しかし、トラブルに巻き込まれ、約10年で閉店。2200万円の借金が残りました。
返済に明け暮れ、朝・昼・夜と仕事を3つ掛け持ちした時期もあり、立ち仕事の連続で帰宅すると倒れ込むこともあったそう。そんなとき、座って施術ができるリフレクソロジーを知り、「これをやりたい！」と直感。スクールの受講費を捻出するため銀行に相談すると、5行目で融資を受けることができました。バイトを休むことなく務め、着実な返済が信用となったのです。
技術を取得したのちサロンに勤務すると、指名・売上ともにナンバーワンに。そして、2011年に独立。施術した人は20年間でのべ2万人にのぼります。
転機は2022年、起業塾の主催者に「いいかげんに認めなさい！」と背中を押され、ついにヒーラーを名乗る決意を固めたakkoさん。すると、誰にも話していないのに相談の予約が入ります。「これは天からの応援」と実感しました。
今回のイベントを前に、akkoさんに大きな変化がありました。ずっと確執があり、開示できなかった母親のことをYouTubeライブで話したのです。
「母自身が癒やされていなかったこと、私が自分軸で生きていなかったから起こったのだと、あとになってわかりました。自分で自分のヒーリングをするうちに母親への感じ方が変わり、過去の全てを許すと気持ちが軽くなりました。今は亡くなった母が応援しているのを感じます。本来の純粋な愛に戻った感覚です」
「体感したものが真実」。未来の扉は開かれた
「ヒーリングをお届けして、相手に受け取っていただける。その感謝と喜びを私は360度、周りに発します。相手の方も安心された波動を周りに発すると、恐怖や不安から解放されて本来の魂で生きることができます。それが平和へとつながると確信しています」
その波動に満ちたのが、三の丸ホールのセッションでした。参加者は、この瞬間、この空間に生まれるものを全身で感じ取り、自分の中へと深く入り込んで自由に意識を広げました。個で感じながら、同時につながりも感じていたことでしょう。
「マークさんは音にのせて、シンギング・リン奏者の皆さんは周波数にのせて、私はヒーリングで。それらが重なり合って、見えないものを感じる空間を創ることができました。体感したものが自分にとっての真実。それを大切にしてほしい」とakkoさんは力強く語ります。
イベントの最後に、参加者がシェアした感想が印象的でした。
「瞑想したとき、akkoさんと色違いの服を着て、ヒーラーとして同じステージに立っている自分の映像が見えました。私は覚醒したのだという静かな思いを持って」
一人の夢の到達点は、未知の可能性のはじまり。それぞれの個性がグラデーションのように溶け合い、波となって広がっていく。想像を超えた未来は、もう始まっています。
撮影／高井太志
akko （あっこ）／田村昭子（たむらあきこ）
青森県生まれ。 20代のときオーストラリアで暮らし、結婚・出産。その後、離婚し、帰国。 3歳直前の息子を手放し、懺悔の中で生きる。学費や生活費などの借金 2200万円を返済する中、リフレクソロジーに出会い、「これだ！」と直感し、職とする。サロン勤務を経て、2011年、神奈川県小田原市にサロン開設。 20年間でのべ 2万人を施術する。クライアントの心のサインを感じ取るようになり、苦しさや辛さを解決したいとライフコーチとなる。
2022年より「あなたの全てを受け止めて包み込むマザーヒーラー ®」として活動。個人やグループのセッション、講座、リトリートなどを展開する。
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